2ボルはセンスが無い

今日とある知人の日記を読んで知ったのだが、韓国語に通暁しているその人は驚いたことに韓国語のタイピングが出来ないのだそうだ。彼が韓国語を学んだのはパソコンが普及する以前のことだったので、というのが理由らしい。「そんなことを言うなら英語なんてどうするんだ*1」とかいうツッコミは今はどうでもよい。韓国語のタイピングといえば前から気になっていることが一つあるので、よい機会だから書いておく。



上の図は韓国語の最も一般的な入力法「2ボル」のキー配列。赤いのが母音字、青いのが子音字。

ご覧のように「ㅠ」を除く全ての母音字は右手で、また全ての子音字は左手で打つ位置にある。一見すると整然としていて分かり易そうだが、考えてみればこれは恐ろしく不合理なキー配列であることが分かる。韓国語に於いては子音字の出現頻度が母音字のそれに比べてずっと高いからだ*2。おかげでどうも左手ばかりが疲れる。

試しに今日の朝鮮日報の社説*3で数えてみた。社説本文から漢字や英数字・役物を除き、ハングル部だけ数えると756文字あるが、左手の指でタイプする回数の方が右手よりも276回多い*4

*1:まぁ英文タイプライターなら日本にも昔からあったからなぁ。韓国語のタイプライターなんて大昔にTVで一度見たことがあるだけだ。タイプライター風のフォントなら今でもweb上で屡々見掛けるけれども。

*2:例えば「값」という文字を打つには子音字「ㄱ」に続けて母音字「ㅏ」、更にその後に子音字「ㅂ」「ㅅ」を打つ、といった要領。この場合は右手の指を1回使う間に左手の指を3回使うわけだ。

*3:web上での話。紙媒体では明日の朝刊に載る。

*4:된소리の場合など同じ子音字が2つ組み合わさっているとき、および母音字「ㅒ」「ㅖ」は、多くのIMEではShiftキーを併用するので、両手の指を使うものとして集計から外した。但し、以前聞いた話によればMacIMEで「ㄱ」を2度続けて打つことで「ㄲ」を入力できるのがあるらしいので、そういうのを使う場合は左右の手の指の使用頻度にはもっと大きな偏りが出ることになる。