あれは一体何を予測したことになるのだろう

…という疑問が 前からある.

総選挙はてなの場合だと,配当は各政党の獲得議席数に比例して配分されるから,ユーザのほうもそれに合わせて めいめいの予測に基づいて「この政党は 今の段階で指し示している予測値よりは多めに議席を取る筈だ」と思えば買い,「こんなには取れないだろう」と思えば売る,というのを繰り返して 最終的にもっともらしい予測値に収斂する…というのが 予測市場の本筋だった筈*1

それに対し,一般のはてなアイデアの場合,アイデアの採択/却下はスタッフの独断と偏見(笑)で決まるわけだから,ユーザのほうは当然「こうしてほしい」という要望ばかり出していてもダメで,「はてな受け」しそうなアイデアの株を狙って買うし,自身もなるべくそういうアイデアを出す(…筈だ,本来は).このことについて,先日のへんな記事の主が面白い事を書いていて,こうあった:

ここだ。この点が「はてなアイデア」の革新的な点だ。「はてなアイデア」は㈱はてなという企業の意思決定に直接関わる内容を社外の参加者、より具体的には顧客に取引させている。参加者は「自分がどんな機能を欲しいか、どんな改善をしてほしいか」ではなく、「はてな」がどんな機能を実装するかを予測する。自分の視点ではなく、はてなの視点に立つのだ。この点を近藤社長は明確に意識している。講演の中で、「はてなアイデア」への発展のプロセスを語っていた。単なる要望受付や投票だけでは、顧客は自分の要望だけを伝えようとするので、「はてなアイデア」にたどりついたのだと解説していた。

このことが そうまで筆者の筆に力を込めさせるほど「革新的」な事であるかどうかは 実際のところ私の関心事ではない.私が気になるのは,寧ろ「現在の配当決定の方式が『はてな目線』で見て 望ましいアイデアが多く上がってくるように設定されているか」という点だ.

上述のように,アイデアの採択/却下の決定までは これでよい.問題は配当の決め方だ.現在のやり方では 配当は 各アイデアを実装するのに必要な工数に基づいて スタッフが決定しているわけだけれども,これだと,単に「はてな受け」が良さそうだというのではなく,実装に より手間の掛かりそうなアイデアの株に より高い値が付くことになる(…筈だ,本来は←しつこい?).

より手間の掛かるアイデアをより高く買う動機とは

過去の「実装済み」の事例をつらつら眺めていると,なるほど単なるヘルプの誤記の指摘とか「明記して下さい」系は大抵が配当1.5で,2まで行く例は少ない.不具合報告になると配当2が圧倒的に多い.配当3以上が付くのは,UIの基本的な設計変更や新機能の付加など ある程度システムの奥のほうに手を入れなくてはならない場合が殆どだ.この辺までは まぁどうにか頷ける.

なのに手間が掛かりすぎるとボツになったり

一方で,アイデアそのものは「はてな受け」が良さそうなのに「技術的に実装困難」と判断されてボツったりする例もあるわけで,単純に先進性や使い勝手に比例しているとも言えないらしい.
「良案をユーザに出させる」というスタッフ側の目論見を一旦忘れて,ユーザにとってのはてなアイデアのありようを単純にゲームとして見た場合,この点は非常に投資家泣かせな点だ.実際,過去にも「納得の行かない却下」というのが随分あった.

総選挙はてなは そういう事を考えなくてよいから 楽だな.現行のはてなアイデアの配当決定というのは,総選挙はてなに譬えたら

予測される獲得議席数が ある未知の一定値を超えると,その政党の候補は全員死んでしまいます

と言っているのと大差無いわけだ.ヤな選挙だなぁ.

*1:前々から書いているように,ユーザがそれを理解した上で取り引きをやっているのかどうか かなり疑わしいフシは多々あるが.